コンドラチェフサイクルの4つの局面

 ニコライ・コンドラチェフは、ロシアの農業経済学者です。彼は、ソ連の5カ年計画に取り組んで農業発展に尽力している間、約60年周期の長期波動について発表しました。(なお、現在のコンドラチェフサイクルは彼の発表した60年から期間が大幅に延びています。)

 彼の理論によると、景気循環には「拡張」、「停滞」、「不況」の局面があります。この3つの局面は、後の経済学者により拡張され、最終的に4つの局面、すなわち「インフレ好況(春)」、「インフレ不況(夏)」、「デフレ好況(秋)」、「デフレ不況(冬)」に分けられました。

 現在では、コンドラチェフサイクル理論における専門家の一人に、ロングウェイヴグループのイアン・ゴードンがいます(www.longwavegroup.com)。
 
 以下は、彼が中心となり、コンドラチェフサイクルの各局面とその特性をまとめた表です。
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 次の表は、コンドラチェフサイクルとして一般的に受け入れられている各局面をまとめたものです。
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 次のグラフは、金価格、金価格建てで見たダウ平均、長期金利の推移を表したものです。コンドラチェフの夏を赤色、冬を青色で塗っています。
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コンドラチェフサイクルの冬

 2000年に株式市場は暴落し、冬の時代に入りました。金価格で測定すると、2015年時点でダウ平均は、2000年の値を大幅に下回っています。

 冬の時代となった今回の局面では、株式市場のバブル崩壊、戦争やテロが次のとおり発生しました。
  1. ITバブルの崩壊 (2000年)
  2. 9.11テロ (2001年)
  3. イラク戦争 (2003年)
  4. リーマンショック (2008年)
  5. ギリシャ債務危機 (2010-2015年) 
 前回の冬には、世界大恐慌の影響により1931年から1933年に18カ国がデフォルトしました。欧州では、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、ルーマニア、トルコがデフォルトしています。また、終戦後の1950年には、日本を含めて50以上の国がデフォルトしています。
 
 以前の冬においては、戦争が行われました。こんなことを言うととても不謹慎なのですが、不況時の戦争は、景気後退を終了させるのに役立つ経済的起爆剤となります。

 コンドラチェフの冬は、始まって以来、ほとんどにおいて戦争が発生しています。2001年9月11日のテロは、アフガニスタン侵攻とイラク戦争という「対テロ戦争」を引き起こしました。現在でも、シリア内戦が激化して戦争が続いています。
 
 また、次のコンドラチェフの夏(2034年前後)においては、米国と中国の間で世界的な紛争が発生するでしょう。これら2国は地球の限られた資源に関して競合しています。21世紀は戦争の世紀になるでしょう。この世紀の戦争は、地球温暖化が進行し、水と食糧を奪い合うための戦争、原油や商品に関連する戦争であることが予想されます。

冬がいつ終わるのか

 現在のコンドラチェフサイクルは、1949年から始まり、17年間の春(1949から1966年)、16年間の夏(1966年から1982年)と18年間の秋(1982年から2000年)を経験しました。ここまでの3つ局面を合計すると51年間となり、これまでで最も長いサイクルとなっています。

 コンドラチェフの冬は、過去に最短10年、最長22年、平均して17.3年間持続しました。これを2000年を起点にして考えると、最短で2010年、平均で2017年、最長で2022年まで冬の時代が続きます。

 現在のサイクルの夏までの期間が過去最長となっていることから、冬についても最長となるとすると、2022年まで冬の時代が続くことになります。

 また、この2022年というのは、米中の人口ボーナスが底打ちする年でもあります。

 現在のコンドラチェフの冬は、まだまだ続きます。2022年までの間に、株式市場は新安値に暴落する可能性があります。QEのようなツールを使用することによって金融危機が延期された結果、より悪い金融危機がやってくることとなるのです。

 金価格は、金融・経済危機に直面して新高値へ上昇していくこととなります。

【追記】冬が長くなる理由

 なぜ、今回の冬が長くなるのかについてですが、今回のサイクルにおける金利のピークに着目するとすっきりします。1920年のピークは金利が約7%でしたが、1980年のピークは金利が約20%に達しています。

 つまり、今回のサイクルは、前回のサイクルに比べて山が大きくなっています。山が大きくなるということは、調整に要する時間もその分だけ長くなります。

 金利が下落する期間を長くとることができため、前回のサイクルの秋が9年だった一方、今回のサイクルの秋は18年も継続したのです。このことは、冬についても同様であり、前回のサイクル並みだとしても冬が20年続きます。

 よって、少なくとも2020年以後まではコンドラチェフの冬が継続することになります。

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【追記】嶋中雄二さんの見解と相違する理由

 三菱UFJモルガンスタンレー証券景気循環研究所嶋中雄二所長は、著書にてコンドラチェフサイクルが既に上向きになっているといっていますが、この見解は本稿の見解と矛盾しません。

 彼は、本稿でいうコンドラチェフの冬から秋までをひとつのサイクルとしてとらえています。このようなとらえ方をすると、すでに次のコンドラチェフサイクルが始まっています。

 金価格に注目した場合、金価格は冬の時代から上昇するわけですから、冬の時代の始まりをコンドラチェフサイクルの始点としてとらえる視点も適切であると思います。

初回作成日 平成27年9月22日
第1回更新日 平成27年9月24日



 




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