皆さんお元気でしょうか。過去記事「金価格の底打ちを確認。資産形成におすすめな米国の金鉱株は?」において、金鉱株のスクリーニングを行い、資産形成に有用な金鉱株をご紹介したところです。本稿では、何が大化け株の要因となるのか確認します。

現在のポートフォリオについて

 下記は、6月1日時点に組成したポートフォリオの推移です。7月23日に底打ちして以降は、上昇傾向にあります。
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 このポートフォリオ内でBAAの比率が下がっていますが、実は、BAAは負債の少ない銘柄を選ぶという私の方針に反する銘柄でした。当時、スーパーストック発掘法の著者ジェシー・スタインが、Stock TwitsにてBAAを推奨していたため、ポートフォリオに組み入れたのですが、結局この推奨は外れました。

スーパーストック発掘法 ──3万時間のトレード術を3時間で知る (ウイザードブックシリーズVol.222)
ジェシー・スタイン
パンローリング株式会社
2014-10-11

時価総額について

 大化け銘柄を狙うには、時価総額が小さい銘柄を狙うというのが常道です。そこで、私が現在トラックキングしている金鉱株、産銀及び炭鉱会社を中心とした約100銘柄について、金価格が底打ちした8月1日から現在までの騰落率及び時価総額の関係を散布図にプロットしました。

 下記の散布図においては、現在の私のポートフォリオ構成銘柄を青い大きなポイントで、私が注目している銘柄を赤い大きなポイントで表示しています。

  時価総額が小さくなるほど、騰落率の振れ幅が大きくなっています。
大化け株を狙うには時価総額が小さいことが重要ですが、時価総額が小さいからといって、暴騰するわけではないことをおわかりいただけたでしょう。

 振れ幅の大きい
時価総額が小さい銘柄の中から、慎重かつ丹念に暴騰銘柄を選定していく必要があるのです。 
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PBR(株価純資産倍率)について

 PBRが低い割安銘柄を選ぶというのが株式投資の常道です。しかしながら、PBRが低いからといって、上昇するわけではありません。PBRが低くても、負債が多かったり、利益がどんどん増えていくという将来性がなければ株価は上がりません。
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負債について

 負債の少ない銘柄を選ぶというのが、私の方針の最優先事項です。今回、BAAは、負債が大きいながらもスーパートレーダーが推奨するということで購入してしまいました。

 下記の散布図で騰落率及び負債資本倍率(デット・エクイティレシオ)の関係を見てみると、27%以上上昇した銘柄は、概ね
負債資本倍率が0.8以下でした。

 単に、負債が小さいだけという条件だけでは上がらないのは事実ですが、
負債資本倍率は、時価総額やPBRに比べれば、より信憑性の高い指標となります。MUX、AUMN及びBAAの3銘柄の関係で確認すれば、最も負債が多いBAAの騰落率が最も悪くなっています。

 ちなみに欧米の経済学者の研究によると、政府債務の対GDP比率が80%を超えると、有意にGDP成長率が低下するそうです。国も企業も莫大な債務は、成長の足かせとなります。
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売上について

 マークミネルヴィニは、高成長株の要件として、
売上高の対前年四半期成長率が少なくとも10%程度であることとしています。下記の散布図で騰落率及び売上高の対前年四半期成長率の関係を見てみると、売上高成長率が大きいからといって、必ずしも株価は上昇していません。
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利益について

 マークミネルヴィニは、高成長株の要件として、EPS(一株当たり利益)の対前年四半期成長率が少なくとも40%程度であることとしています。

 下記の散布図で
騰落率及びEPSの対前年四半期成長率の関係を見てみるとEPS成長率が大きいからといって、株価は必ずしも上昇していません。EPS成長率が高くても、まだ赤字である場合には、マーケットの信任を得られないのです。
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 ここまで確認したところ、負債のみが
消極的に使える唯一の材料となりました。時価総額、PBR、売上成長率、利益成長率のいずれも、赤字が継続している場合には、有用な指標とはなりえません。
 
 下記の散布図で騰落率及びEPSの関係を見てみると、EPSが黒字で大きい場合であっても、株価の騰落率は高くありません。

 むしろ、利益が限りなくゼロに近く、黒字転換すれすれの銘柄が大きく上昇しています。実は、株価が大きく上昇するのは、赤字が漫然と続く銘柄でもなく、黒字を維持している銘柄でもありません。マーケットの期待を裏切り、赤字から黒字へ転換する銘柄こそが、最も大きく上昇するのです。

 つまり、マーケットの期待を裏切り、大きな変化があった場合に、小型株が大化け銘柄となるのです。そのためには、負債が小さい銘柄を選定して倒産を避けつつ、黒字転換してEPSが大きく増えそうな銘柄を探していく必要があります。
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原材料の増加率について

 では、赤字から黒字へ転換する予兆をどのように発見すればいいいのでしょうか。過去記事
に記載したとおり、私は、原材料の増加にヒントがあると考えています。事業環境が上向いて攻めに転じる際に、まず最初にやることは仕入れを増やすことです。
 
 下記の散布図でMUX、AUMN及びBAAの3銘柄の関係性を確認すれば、最も原材料の調達が増えていないBAAの騰落率が最も悪くなっています。
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 この、原材料調達の増加の重要性について、下記のチャートでご確認いただきます。下記のチャートは、BAAの株価推移、売上高、利益、仕掛品及び原材料の対前年四半期成長率並びに四半期EPSの推移を掲載しています。
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 まず、チャートの①の段階ですが、売上高成長率がマイナスで赤字決算が発表されましたが、大きく原材料調達が増えています。この段階では失望決算となり、株価はその後暴落しています。

 次に、チャートの➁の段階ですが、売上高はプラス成長に改善し、原材料は仕掛品に転嫁されたことがわかります。しかしながら、依然として赤字が拡大したため失望決算となり、株価は暴落しています。

 最後に、チャートの③の段階ですが、売上成長率20%超、EPS成長率200%超という好決算が出ました。仕掛品が完成品になり、商品を売却して利益が出た結果です。マーケットは、この好決算に反応して、その後大きく株価が上がりました。

 ジェシースタインは、この大きな上昇が抵抗線を上抜いたため、テクニカル要因のみで推奨したのでした。しかしながら、負債が大きく、その後に大赤字が続いたことから、株価は再び二番底を取りに行きました。

 そして、8月に金価格が底打ちしてようやく、BAAの株価は下げ止まったのでした。今後の展開ですが、売上高成長率が加速しており、金価格が上昇すれば、黒字を計上できるのではないかと考えています。

インサイダーの取引について

 インサイダーの取引についても、重要なヒントとなります。ただし、今まで売りに転じていたインサイダーが、買いに転じた場合のように、長期間の時系列の中でどのような変化があったのか確認することが必要です。

 たとえインサイダーが買っていても、買うたびにずっと値を下げているような場合は危険信号です。金鉱株では、インサイダーの取引が明確に買いに転じたといえるのは、MUXのみです。
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最後に

 本稿では、8月に金価格が大底を付けたときから現在までの騰落率をもとに、何が大化けの要因か探りました。結局、決め手となる材料はありませんが、さまざまなヒントを組み合わせれば、ひとつの答えが出てきそうであるということがわかりました。

 大きな上昇をとらえる簡単な手法はありません。どの指標にも一長一短があり、さまざまな指標を組み合わせて総合的に判断していく必要があります。



金(ゴールド)はこれから2倍になる
林 則行
宝島社
2015-02-13
 







 


 
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