さて、前回の記事でサイクルによる今後の予測を掲載しましたが、2020年の予測は、若干今までのサイクルからバイアスのかかったものになるだろうということをお話ししました。

ここでは、サイクルに対して、2020年はどのようなバイアスが発生するのかを見ていきます。

米国連邦準備の政策決定について

それでは、まず一番大事なのが、米国連邦準備が、隠れQE4といわれる政策を、2019年の9月から開始したことです。この政策は、今までの量的金融緩和では長期金利の操作を目的として、米国の長期国債を買い入れていたのですが、代わりに、米国の短期国債を買いいれるというものです。連邦準備は、長期国債の買いいれではないので今までの量的金融緩和とは違うといっていますが、連邦準備の資産が増えるので、その効果は量的金融緩和と変わらないとされています。

米国の金融緩和の状況を見る指標としては、まず、マネタリーベースがあるのですが、その狭い定義のものとして連邦準備の米国債(財務省証券)の保有量さらに、連邦準備の米国短期国債(財務省短期証券、期間が91日から1年未満のもの)の保有量があります。

これら3つの指標を確認してみると面白いです。最も感応的に動いてるのが、米国短期証券の保有量の推移です。リーマンショック前から、アメリカの株価はほぼ、この米国短期証券の保有量の推移と連動しています。短期金利の急騰が、株価にショックをもたらしてきたと考えられます。

リーマンショック前夜、2007年9月から米国連邦準備が金利を引き下げて緩和しだしたのですが、確認してみますと、なんと米国短期国債の保有量を減らしていたのです。つまり、金利を引き下げつつも、隠れ引き締めをやっていたのです。そのため、短期金利が急騰し、信用危機が発生したためにリーマンショックが起こり株式が大暴落しました。

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現在の米国連邦準備が短期金利の低下を促すために、米国短期国債の買い入れをものすごい勢い、増やしているのは、株価にとっては非常に好都合です。過去の推移をみると米国連邦準備が短期証券を増やしはじめてから株式市場は1年から2年程度の上昇を継続していますので、2019年末を始点として1年程度は少なくとも上昇を継続していきそうです。

金利の低下は不景気のサインか?

さて、過去2回の利下げ局面では株価が大きく下落しています。証券アナリストのテキストでは、利下げ局面への転換は、株安・不景気のサインだと言われていますが、これも間違っています。

因果関係が違うのです。景気が悪ければ連邦準備は永遠に金利を引き下げるしかないのです。そのため、2000年以降は、結果的に景気の悪化と金利の引き下げがかぶっていました。

2000年より前の 1980年から始まった金利の低下局面では、米国株は上昇しました。景気が悪くなくてもインフレ率が低下していれば連邦準備は金利を引き下げてバブルを作り出すことができます。

金利の上昇や下降は結局、今まで起きたことに対する反応でしかなく、正確に予測するものではありません。それでは何が、株価の上昇を説明できるのでしょうか。

人口動態の影響

2000年を境にした米国株式の構造変化は、人口ボーナスを使って説明することができると考えています。このアメリカの人口ボーナスは 2024年をめがけて上昇を加速させていくのです。

1980年以降のゴンドラチェフサイクルの下落局面といわれる金利の低下局面で、なぜ、2000年まで株価が上昇し、2000年以降、金利の低下局面にもかかわらず株価が下落したのかは、すべてこの人口ボーナスによって説明できると考えています。

下記の図は、米国のダウ平均、米国の人口ボーナス、米国の連邦準備の政策目標金利、米国のマネタリーベース、その前年からの変化率(棒グラフ)、米国の連邦準備の国債保有量、米国連邦準備の短期国債保有量を示したものです。

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下記の図は、米国のダウ平均と米国の人口ボーナスです。また、米国の対世界人口ボーナス成長率、ゴールド価格建てで見たダウ平均の推移です。

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いま米国の株式市場が置かれている状況について

対世界で見た米国の人口ボーナス成長率は2018年を大底としてこれから 2023年まで上昇します。2024年までプラス圏で推移します。

このような状況を踏まえると、突発的な株式の大暴落は2018年10月からの3か月で最後だろうと思います。

現在、米国連邦準備が 2019年の9月から隠れQE4を開始し、短期米国債の保有量は、過去の推移をみるとおおむね1年程度は安定的に推移すると見込まれます。

さらに、大統領選挙の年ということで、2019年の12月に米中貿易摩擦が手打ちとなりました。関税の引き上げは見送られました。トランプ大統領が再選する場合、再選する年の大統領選挙サイクルは強い傾向にあります。また、大型の景気対策を打ってくるでしょう。トランプ大統領の一番気にしているのはダウ平均株価で大統領執務室にも株価ボードがあるといわれています。

2020年に関しては、サイクル的には容易弱い傾向が出ているものの、足元で始まった隠れQE4による米国短期証券の保有量の増加が安定的に継続すること、米中貿易摩擦が緩和したこと、米国の対世界で見た人口ボーナス成長率が上昇に転じること、これらの要因から、米国株が大きく上昇していく可能性が高い年になると考えています。

下記のチャートは、QE2終了後の様子を図示したものです。

まず、最初のQE1は2008年11月に開始され2010年3月~6月に打ち切りとなっており、打ち切り後の2010年5月から2010年10月のQE2発表頃まで株価は下落しました。

次に、QE2は2010年10月から開始されまた。2011年5月にQE2は終了し、終了後2011年9月まで株価が大幅に下落しました。

QE1~QE2は概ね打ち切り後、5月から半年程度、株価を下落させました。

次に、2012年9月にQE3が開始され、株価は1年程度加速して上昇しました。日本ではアベノミクスの開始時期と重なります。2014年12月いっぱいでQE3は終了し、終了後の2015年1月からの1年間で株価は下落し、2016年2月に底打ちしました。


2016年2月の底打ち後、2016年11月のトランプ当選を境にして、利上げ局面であるものの、株価は人口ボーナス増加に支えられて加速して上昇しましたが、2017年10月から開始した保有資産の縮小により、1年3カ月、FEDが引き締めを辞める2018年12月まで下落しました。

その後、2019年9月から隠れQE4が始まりましたが、2012年9月のQE3開始時や2016年11月のトランプ当選後のように1年程度は加速して上昇するのか、それともQE1~QE2のように年央に終了となり腰折れとなるのかまだわかりません。いつ頃が出口となるのか意識しておきたいところです。

一応、節目としては、5月の金星逆行がありますが、このようなファンダメンタルズの強さを意識すると押し目なく上昇していく可能性が高いのではないかと考えています。

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下図は米国の人口ボーナスとダウ平均の長期推移です。

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