円高局面になると、先進国の中で最も赤字を抱えるイギリスポンドがこれまで標的にされてきました。

ジョージソロスは、ポンドを売り崩してイギリスをERMから離脱させました。

英国の恒常的経常赤字

ポンドを切り下げてもイギリスは経済力を回復していません。これがその証拠です。

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上図は、財務省の日英国際収支とポンド円の推移です。ポンド円が下落するときは、経常赤字が拡大する傾向にあります。そして、2015年からの調整局面ですが、赤字が過去最大レベルになっていることを考えても浅すぎます。

つまり、2016年からのポンド円の反騰局面はそろそろ終わりが近づいているということがわかります。

ポンド円の季節性

ポンド円の季節性を見てみます。下図は、変動相場制移行後、1990年以降、2000年以降のポンド円の平均推移と、、2018年の推移です。

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概ね株式市場と同様に、セルインメイ、10月底となっています。これは、英国への資金流入が主に金融投資ですから、株価の動きと英国への資金流入が概ね一致することによるものだと思われます。

8のつく年の推移

それでは、8のつく年の推移を見てみます。下図の点線は8のつく年の平均推移です。おおむね下落傾向となっています。

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ジュグラーサイクル上の同局面との比較

それでは、ジュグラーサイクル上の同じ局面との比較を行ってみます。

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過去のジュグラーサイクルの上の局面からみると、2018年はピークから3年目です。ピークから3年目の年との比較が下図です。

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やはり、下落傾向にあります。


そもそもポンド円は下がる生き物

2000年以降持ち直していますが、ポンド円は、英国病に端を発するイギリスの莫大な経常赤字により、慢性的に下落傾向にあります。

特に、対日収支は、2017年9月末四半期で過去最悪を記録しており、通貨の価値を維持できるようなレベルの金額ではありません。

その割には、2016年以降、ポンド円は中間反騰局面にありますから、いつ下落相場が牙をむいてもおかしくないといえそうです。



新版 ソロスの錬金術
ジョージ・ソロス
総合法令出版
2009-02-25