参考記事
私の相場観 : 不況下の株高の行方 - livedoor Blog(ブログ)
 

 さて、米国株は金融緩和による資金流入で、異常な資金膨張によるバブルが続いています。しかし、実体経済の回復は緩慢であり、実体経済とはかけ離れた株高が演出されています。景気変動において、このような事象は過去にも繰り返されてきました。たとえば、バブル崩壊時の日経平均は1989年12月まで上昇していましたが、経済企画庁の景気指数は1988年2月前後をピークに緩やかな下降基調にありました。一方、サブプライムバブルの時ですが、諸々の景気指標が2006年をピークに緩やかに下降しているにもかかわらず。2007年2月までダウは上昇し、その後も新興国株は2007年10月、コモディティは2008年5月までにバブルのピークを迎えました。バブルがどうかを見抜くために、米国のトービンはQ理論により株価が過大評価されているかどうかを判別する方法を唱えました。

 実際の景気分析においては、諸々の経済指標の推移にみられる齟齬を見つけ出し、バブルであるかどうかを判別することができます。バブルとは、実体経済の動きとはかけ離れて、資産価格が膨張し、実体経済の裏付けを伴っていないがために泡沫のように資産価格の暴落をもたらす現象です。米国の金融当局はリーマンショックを退治するために、意図的に過去最大規模のバブルを生みだして株価をつり上げています。ただし、この金融政策は実体経済が上向くまでの時間稼ぎにすぎません。実体経済が自律的な回復を遂げて、実体経済に裏打ちされた株価上昇がおきませんと、金融当局が手を引いた瞬間にバブルが崩壊します。 

 今の米国経済は、自律的な回復へ一歩一歩前進していますが、ちょっとしたことがきっかけで人為的に作られた株高が崩壊するという危うい面を昨年の夏に見せつけました。今年についても、昨年よりかは景気回復が軌道に乗るものの、依然として脆弱さをはらんだ株価推移になることが容易に予測できます。そもそも、米国の株価が2000年以降上昇していない原因は、メディアで多くは語られていませんが、日本同様に人口動態の高齢化による影響が大きいのです。今後も2020年までは米国の40歳代人口は減り続けますから、それまでは、恒常的に実体経済の減速と、その減速を緩和するための金融政策が用いられていくこととなります。もっとも、ジュグラー循環の上昇局面にある2015年程度までは比較的安定していると考えられます。現在は、新しいジュグラー循環が始まる直前の地点にいると私は考えており、米国株も今後大きなバブルの剥げ落ちがあるのではないかと考えています。

 次に、2000年以降の米国ダウ工業平均指数の月足チャート図とデマークインディケーターの推移図を掲載します。ボーナス世代人口のピークアウトという高齢化による人口動態的負荷が現出し始めた2000年以降、米国株は横ばいを続けています。この10年間のFRBによる金融緩和の効果は、減速する実体経済が株価に与える影響を相殺する程度の効果しかなかったことがわかります。

 このように株価が循環的な動きになる中で、米国株におけるデマークインディケーターの的確性は高まりました。2000年以前の米国株では、ピークを示すシグナルが発生してもそのまま株価が上昇していくことが多かったものの、2000年以降は株価の動きが循環的になったこともあり、ピークを指示す適格性が高まっていることがわかります。現在のダウ平均は、2012年1月時点でTDシーケンシャルのカウントダウンが完了しているものの、その後も上昇が続いています。しかし、2000年以降米国経済の潜在的な成長力は変わっていません。相場の過熱を考えても、早晩ダウ平均が下落に転ずることは容易に予測できます。


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