シクリカルな研究を行っている投資家の見方を参考にして、2012年の日経平均の見通しを立てました。
大きな見通しは、2011年1月時点の予測と変わりありません。底値を6500円、高値を8900円と見込みます。

今回のキチンサイクルの下降局面は、ジュグラーサイクルの中の三つ目のキチンサイクルの下降局面です。過去のサイクルを参考にして今回のサイクルの予測をする場合、ジュグラーサイクルの中の三つ目のキチンサイクルが、今回のサイクルについて最も再現性が高いサイクルとなります。日経平均でいうと1992年に底を打ったキチンサイクル(下図シアン色)、2003年に底を打ったキチンサイクル(下図黄色)がそれにあたります。

また、1998年に底を打ったキチンサイクル(下図赤色)も参考のために比較します。 1998年 に底を打ったキチンサイクルは、ジュグラーサイクルを構成する三つのキチンサイクルの中の二つ目のサイクルです。 このキチンサイクルを支配するジュグラーサイクルは下降局面にあり状況が似ていることから、比較対象とします。なお、バブル崩壊以前、 二つ目のキチンサイクルを支配するジュグラーサイクルは、上昇局面にあるのが一般的でした。

一方、1995年 に底を打ったキチンサイクルはジュグラーサイクルを構成する三つのキチンサイクルの中の一つ目のサイクルです。このキチンサイクルを支配するジュグラーサイクルは、上昇局面にあります。長波が短波を支配するという複合循環の考え方によると、このサイクルの下落期間は短いので比較しません。

更に、2000年4月をピークとする日経平均の下落、1929年9月をピークとするダウ平均の下落はかねてから相似性が指摘されております。そのため、 2000年4月の日経平均のピークと1929年9月のダウ平均のピーク時点を重ね合わせた、ダウ平均の推移図(下図青色)も参考材料とします。
2007年と1929年を重ね合わせないのは、アメリカの恐慌の始点は2000年から始まっているという松本和男氏の学説に基づくからです。

下図は、それぞれ比較するキチンサイクルのピーク時点を、今回のサイクルの2010年のピーク時点に重ね合わせたグラフですから、そのままアナロジーを用いて天底 を予測できます。しかし、実際の相場の進行により表面化したズレを調整した予測のほうがより正確です。たとえば2011年の日経平均のピーク時期は、その直前のボトムに、比較している各サイクルのボトムを一致させた上で予測した方がより正確でした。

このようにして2011年に日経平均のピーク時期を当てたわけですが、同様の手法は今年の底を付ける時期にもあてはめることができます。実際に日経平均がピークを付けた2011年2月18日に、比較している各サイクルのピークを一致させて予測を行いました。

その結果、日経平均は4月中旬からゴールデンウィーク明けに値を崩し、7月20日から8月3日に一番底を付ける見込みです。今のところ、 日経平均が一番底を付ける週は、8月3日が最有力候補です。8月には中間反騰をしますが、再度秋口の9月半ばから10月末にかけて2番底を付ける見込みです。 2番底を付ける 時期としては、一番底を付けた日の三カ月後にあたる日の前日が最有力候補です。

景気循環理論上は、この2番底がキチンサイクル、ジュグラーサイクルの底となります。以降先進国では2015年末ぐらいまでマーケットラリーが続く見込みです。ただし、消費税増税、少子高齢化した人口動態的負荷により、日経平均のラリーは世界一早く終わる可能性があります。おそらく次のジュグラーサイクルを構成する一つ目のキチンサイクルのピーク時点が、ジュグラーサイクルのピークとなってしまう過去にはない超弱気のジュグラーサイクルを描く可能性もあります。

毎年恒例の日経新聞の経営者による日経平均予測を検証したブログ( http://hosohashi.blog59.fc2.com/blog-entry-45.html )があります。このブログによると、日経新聞の経営者による予測ですが、大きく外した後の予測誤差は大体2割程度になっています。今年の安値予測の平均値は7800円前後ですが、実際の安値が6500円になると、丁度予測誤差が約2割になります。このことからも安値6500円はかなり確実性の高い数字です。

現在の日経平均株価のBPSは9010円ですが、日経平均株価が6500円まで進むと、PBRが0.72倍になります。景気循環学会監事の松本和男氏は、著書「2003年日米恐慌」において、2002年時点のBPSが5000円代後半であるため、日経平均が2012年に5000円台に突っ込むと予測しました。現状の日経平均BPSは、いざなみ景気による資本蓄積により大きく改善しており、日経平均が6000円割れまで売り込まれる心配はなさそうです。

2010年高値の11408円にフィボナッチ比率である0.618を掛けると6827円になることから、 おおよそ6000円台後半にレジスタンスラインがあると見ています。

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