2011年日本株見通し:出遅れ修正へ、年末1万2000円

12月9日(木)10時18分配信 ロイター

12月9日、ロイターが実施した調査によると、2011年の日経平均は出遅れ修正が進み、3年ぶりにリーマンショック前の水準を回復する見通し。写真は都内の株価ボード。2008年11月撮影(2010年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 9日 ロイター] ロイターが株式市場関係者を対象に実施した調査によると、米国の金融緩和や新興国を中心とした自律的な景気回復の広がりに伴い、2011年の日経平均株価は出遅れ修正が進み、3年ぶりにリーマンショック前の水準を回復する見通し。

株式市場関係者18人の日経平均の予測中央値は、6月に1万1500円、12月末に1万2000円となり、年末にかけて一段高が予想されている。調査期間は11月30日─12月6日。一方で下押し要因としては、過剰流動性の縮小や政治の不安定化、地政学的リスクなどが意識されている。

市場関係者からは、世界的な企業収益の拡大基調が続く中で「債券から株式への資金シフトが生じ、株式リスクプレミアムは低下する。日本株は世界株をアウトパフォームする」(野村証券・投資調査部チーフストラテジストの岩澤誠一郎氏)として、日本株の割安修正が進むとの見通しが示されている。

新興国に加えて米国の景気回復が進むなど、世界的な自律回復への動きがより鮮明となる中で、2011年は企業業績への信頼感が回復しそうだ。米国の消費・雇用が年前半にかけて持ち直す場合「米国債利回り上昇を通じてドル高・円安になりやすい。来期のドル円の中央レンジは85円から90円とみており、来期業績は30%程度の増益を見込む」(岡三証券・投資戦略部・シニアストラテジストの石黒英之氏)という。

主要企業の為替想定レート(1ドル80─83円近辺)よりも、円安方向で推移すれば「企業の業績と株価にプラス材料になる」(バークレイズ・キャピタル証券・株式ストラテジストの高橋文行氏)として、外需企業主導の業績回復が続くとみられている。

日経平均株価は、年央よりも、年末にかけて一段高になるというのが、多くの市場関係者が示すメーンシナリオ。「来年春過ぎまでは欧州財政懸念も何度かぶり返すなど、不透明感から株価も一進一退のレンジ相場を予想。ただし、5─6月には米国でのQE3気運が高まり、年央から年末にかけては流動性相場で一段の上昇を見込む」(第一生命経済研究所・主席エコノミストの嶌峰義清氏)との声が出ている。

年前半に2010年高値への戻りを試した後は「秋口頃まで米欧の金融緩和の出口戦略が意識され、日経平均はもみ合いとなる可能性があるが、2012年の成長継続期待が年末に向けて高まれば、リーマンショック前以来の1万2000円回復も視野に入ってくる」(大和証券キャピタルマーケッツ金融証券研究所・投資戦略部部長の高橋和宏氏)との見通しもあった。

このほか「(米国の金融緩和は)想像以上の効力を世界金融市場に及ぼす。2011年は『とにかく強い株式相場』と皆が言い出すだろう」(十字屋証券・資金運用グループチームリーダーの岡本征良氏)と強めの見方も示されている。

一方で、日本株上昇の地合いは盤石ではないとの指摘もある。国内景気は政策効果のはく落が懸念されるほか、中国不動産バブルへの警戒感、朝鮮半島問題という地政学的リスクがあり、4月の統一地方選挙次第で政治が不安定化する可能性もある。

本格的な株価上昇には国内政治の安定が不可欠となる中で「国会の正常化を求める催促相場になる」(東海東京証券・エクイティ部部長の倉持宏朗氏)との声のほか、仮に政権交代があれば「市場に対してポジティブなイベントとなるだろう」(トヨタアセットマネジメント・投資戦略部チーフストラテジストの濱崎優氏)との見方もあった。

また、過剰流動性相場が続くとしても「何らかのきっかけで流動性が『逆回転』する場面もあるだろう。金融緩和の濃度を薄くしながら、実体経済を持続的回復軌道に乗せることができるか、非常に難しい政策運営が求められる」(ITCインベストメント・パートナーズ・シニアポートフォリオマネージャーの山田拓也氏)として、金融政策面での留意点も挙げられていた。

米国をはじめとする世界経済の再加速は2012年になると見る向きからは「2011年はめざましい回復を期待しづらく、2010年同等のリターンが予想される」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資ストラテジストの山岸永幸氏)との声や、「本格上昇は2012年からと想定。市場規制や運用規制、証券税制の緩和、国内政治の後押しなどが高値を抜くポイントとなる」(コスモ証券・本店法人営業部次長の中島肇氏)として、本格上昇の条件が整うには時間を要するとの見方もあった。

(ロイターニュース 寺脇 麻理、取材協力 スロドコフスキー・アントニー)